2012年4月10日火曜日

Lens,align.: 日記・エッセイ・コラム



(Licence Free Image @Dreamstime)


ヒトゲノムや集団遺伝学において『連鎖不平衡 (Linkage disequilibrium: LD)』という、ランダム領域の局所組み替え率が期待値よりも有意に偏る現象が起こることは広く知られ、ワクチン開発や形質要因の同定など工学的利用も進められている。このような連鎖不平衡は、染色体の世代期間といった時間的要因、遺伝子座の距離、集団構造の空間的要因によって引き起こされるとされる。

近年、哲学やアフォーダンスの議題から、科学者によって「ハード・プロブレム」と呼ばれる定量的なフレームワークの俎上に載せられるようになった『qualia (感覚質)』という概念。

人間の知的活動領域における意識体験のみではハード・プロブレムを扱うことは不可能というメタ的な批判も少なくないが、それらに対しては幾つかの仮説と反証を呈示出来そうである。その一つにダイアグノーシス的展開も含まれるだろう。要はシステムがシステム自身を診断可能かどうか、疫学的には自己と非自己の関係に置き換えることも可能かもしれない。


意味論空間(Semantic Space)においては、空間を構成する要素を記述するメタデータに対して、それぞれに定義と関係性を付加する「オントロジー」を構築することにより、データ間の関係性を評価するという手法が用いられ、将来的にこのシステムは、自身の「意思」によって新たな価値を抽出することが可能な技術として、bio-informatics分野でも「自動論文生成」などを目標に研究が為されている。

ここで重要なのは、あらゆる意味論空間を構成するメタデータの記述は、人間の社会制度において利用可能な後天的タグ、つまり認知後の表象を『名寄せ』したものであるということ。「意識」が体験するevent(事象)が「感覚」というタグを付与された表象の「組み換え」と「言い換え」られるだろう。

即ち概念上の意味論空間を、現実の意味論宇宙に拡張する。色や味覚から平衡感覚といった、外刺激と認知システムの複雑な相互作用から仮説される「クオリア」の存在論は、それ自身を対象としてイベントの成立要因としている点でパラドクスを生じる。オントロジーは、オントロジー自身の仕様を書き換えることが出来ない。

だが、オントロジーから生成されるコンテクスト内に、その仕様情報をクオートした結果、どんな効果が抽出されるのか。人間社会というシステムにおいては、科学探究のモチベーションそのものに関わる価値があるだろう。

先述したように、意味論空間は物理空間の投影でもある。さらに、リッチフロー理論によると、現実の宇宙空間はある種の次元特性を持つ連結性を有している。

この宇宙で与えられる様々な形質の情報、たとえば「色」に関してであるが、"Red"に対して"Green"がどのような情報であるかという説明は、特定のパラメータを設定した数式によって、その相互関係を記述することが可能であり、さらに、「Red」に対応して「光度 (Brilliant)」の状態がどうであるか、別の評価軸(=関数系)との互換性を保持できる記述であることが要求される。


どのような役割は、双極性障害の環境再生を行います


このようにクオリア研究にとって真に価値あることは、「クオリア間」の関数接続性であると私は考える。つまり、現実の宇宙空間を投影した認知的世界は、オントロジー的な構築により、要素間の(定性的ではなく、)定量的なポテンシャルを格子としていることが前提となる。主観者それぞれについて、関数を決定するパラメータや定数に、誰に対しても相同性を持つ値が与えられているということだ。


この「相同」という概念が鍵であり、誰かが「赤」と感じる色について、他者が同じように「赤」と感じているかといえば、「赤」という形質のクオリアは主観者だけのものでも、「赤」と「赤以外」の関係性は、クオリアの存在論とは無関係に保持されるという事実である。


ただし将来的に、大脳生理学上の何らかの方法で、個人の認識する「赤」のクオリアを比較しようとしたときに、仮に他人との差異が見いだされる場合は、外対象としての「赤」を基準に「赤のクオリア」をもたらす係数の違いがあるということになる。また、自我と他者のクオリアの差異には、原始のスープにまで遡る進化上の理由で齎された相同関係を抽出することが可能かもしれない。

すべての認識事象は、「主観と対象」と、「対象と対象」間の三者関係の差異によって齎され、宇宙という連続体に発現する「要素間」のパラメータと定数によって構築されている。この宇宙が主観者それぞれのパースペクティブにとって切れ目のない連結体だとすると、フレームは物理事象の齎す関数関係によって決定されているのだから、一つの要素に一つのクオリアの特性を付与することで、自動的に他の全ての表象の特性が定義されてしまうことを意味する。

或は、そうはならないとしたら、「宇宙の形」に結びつく、もっと革新的な理論を召喚する必要がある。

リサ・ランドールの提唱した『膜宇宙(≒5次元宇宙)』理論は、地球上の多くの生物が認知行動のフレームとする4次元空間それ自体が、それを包含する5次元空間を無数の膜状に構成しているという発想に至った。ここでもパラメータは重要な基礎を為す要素である。アフォーダンスの視点からは、こうした無限の平行宇宙における4次元空間内の局所的事象は、5次元宇宙、或はもっと高次な空間において如何なる相同性を見せるのか、という疑問に通じるからだ。


膜宇宙理論は、宇宙で起こりうる事象の因果関係に、量子論の多世界解釈や哲学における可能世界論に通じる広いパラダイムを与えたと言われるが、その本質は「確率世界の決定論的挿入」と言えなくもない。

例えばペンローズは、量子論仮説に基づいてクオリアを構成するメカニズムを「客観収縮理論(Orch-OR Theory)」として提案しているが、これは波動関数の収縮が物性に与える影響であり、コペンハーゲン解釈が内包する主観者と量子事象の創発関係のブラックボックスを脱しきれず、「心」を事象に含めて扱うクオリア研究としては、その基幹たるオントロジーの導出に至らない壁がありそうだ。

オントロジーとは、それ自体がメカニズムの仮定を指す言語であり、事実関係そのものではない。同様に、人間がクオリアの解明に至ったところで、クオリアのクオリアたる因子は何処までも分解可能かもしれない。だが、クオリアという仮定に立った工学的な応用対象としての扱いは、多様な学術分野に跨がって利用価値を齎す可能性も捨てきれないだろう。


本、オーストラリアの作家太りすぎの子供


最後に、生命の認知するイメージの差異は、その個体のゲノム特性と有意な関連があるに違いない。さらに個体の形質は、集団遺伝学において一定の確率の揺らぎのもとに、ランダム領域から偏りを有して生成されるものである。

集団から発生する「生命の遺伝」と、個体の「認知イメージ」の間の因果には、定量性のある連結関係が見出される筈で、同一祖先の系統から派生した個体間について、任意のクオリアへのかけ離れた感受特性を持つとは考え難いが、ある種の創発的なタイプ分類が起こっている可能性を否定する根拠もない。

□ my twitter log storage.


□ column.

□ 一夜明けたら、App Store For Macが遂にオープンしてた〜!これでMacBook Airも益々iPadライクに使えそう。
>> Mac App Store

□ ドラッカーなんかが「流行った」という現象について、企業や既得権が、個人の能力を開発する場ではなく、その体制の内に食い潰している存在として、漠然とした無力感を若者に強いているという背景は無視出来ないし共感すら覚えるけど、結局、組織の内で自らが果す責務に変わりは無いわけで、

□ 一種のトレンドとしての「ドラッカー」や経営哲学といったものが、それを行使するものとして対象とされていない層に如何なる影響を与えた所で、企業・組織側の実益と、個人の幸福の双方にとって何か具体的な成長案を呈示出来ているかというと、今の社会背景に照らして、その間の溝を広げただけとも見る


□ いわゆる「ガラケー」の買い物に付き合ったの際、マニュアルはともかく、契約内容やアプリデータの課金条件もろもろが悪意が感じられるほど煩雑で辟易した。

問題はテキスト量よりも、ある特定の要件に係る明示的な仕様を指す文章が、それぞれの機能の参照ソース内の表現でマチマチになっていること。


単純な例として、あるデータ通信機能を利用した場合に、同じ要件が働く異なる二つのアプリ間において、片方は「別途通信料が発生します」もう一方では「手動更新の場合に有料となります」とされている部分。統一表現で無いだけならまだしも、一方、あるいは双方に明示されない情報の欠落がある場合。

この例は単純に、「プッシュ通信なら無料」というオチだった。しかしそう表記されているわけではなく、読み手が帰納的に判断する条件となる。

今後は仕様説明そのものの表現に対して、「名寄せ」が必要になってくるかも。ケース毎に用いる文体それ自体を一元管理して、テクスト内に呼び出す形式。


□ 約款を担保する約款が必要。


□ 共同購入クーポンは、広告ビジネスというよりも、ツアービジネスに擬えて催行基準をしっかり算出して、始めて利が見えて来るシステムだと思う。観光業界も戦々恐々としてるかもしれないけど(;゜0゜)ミクロ経済学の視点から既に反証が。。

□ 人が飛びつくままに、枠を大きく大きくしていくだけだと、供給側が先細りになっていく。要は営業と実務のアンバランスが表出した形。


MRMは生き残るのだろうか?

□ 僅かながら観光業界の一端に身を置いていた経験からいえば、共同購入クーポンのような性格のシステムで利鞘を得るには、特に生産側への根回しが重大。お客さ様を一人でも多く呼び込むというよりも、供給の消化にウェイトがある状態が健全なサイクル。逆だとそもそも「定価」の価値が変動していますよと


□ 「蜻蛉」名の由来はラテン語のTomb(墓)から、更に蜻蛉は陽炎(かげろう)に転じ、人は永遠を夢に描いて墓ない(儚い)存在となる。

□ ちなみに日本古来における蜻蛉の呼称は「秋津」。日本列島を指して秋津州。蜻蛉はセイレイ読みに(精霊)に通じ、地方伝承では死者の魂そのものであるとされる。西洋ではTomb(お墓)に対応して蜻蛉が不吉を予感させるシンボルとして強調されるが、ドイツ伝承には万葉集と同様に乙女に喩えるものも

□ 蜻蛉の英名Dragonflyは竜から転じてSnake、即ち蛇の如く忌み嫌われることも。対照的に、Snakeは日本に伝来する際に「宿禰」に転じ、神道において比較的高位な者への名称(敬称)とされている。

□ ソースは無いものの、宿禰の語源がSnakeであるとされる説は、少なくとも古ゲルマン語のSnakonまで遡らないと説得力が無い

□ ナショジオの「生きもの地球大紀行」がかなり残念なことに。。さかなクンが悪いわけじゃなくて、コメンタリー色が強過ぎて。。

>> http://www.ngcjapan.com/special-contents/great_migrations/

こういう自然ドキュメンタリーを見る時に、リモコン上の操作で、映像内のオブジェクトそれぞれにタグやアノテーションを追随表示出来る機能が欲しい。


□ Science.

数々の非線形物性モデルのギャラリー。各記事のArticle Objectsで閲覧可。回転シリンダー中の分散系の描く模様が綺麗。 / Gallery of Nonlinear Images published Dec #AIP_CHAOS


□ 米PCASTにおける合成生物学への諮問概要。昨年、人工ゲノムから細胞を開発したJCVIが俎上に。先月「慎重な警戒」を発したPCSBIよりも歩み寄り 『イノベーションを阻害せず監視』 White House Council Receives Synbio Report: http://t.co/QJUAxWE


□ Illumina社の株も成長中 RT @ma_ko: 診断・治療方針の決定プロセスでExomeが役に立ったという初の報告/過渡期の姿ではあるし宣伝の役割も / The First Child Saved By DNA sequencing http://htn.to/qt3yfb


□ Illumina社は前年株価から106%の急成長を遂げてますね。シーケシングプラットフォームのHiSeqが大量受注。主な納入先は中国のBGIやブロード研究所。Nic君のシーケンスを担当した人も言及しているけど、この先如何にコストダウン出来るかが鍵。


□ GenomeWeb_News:
Illumina to Move to Larger Spaces in San Diego: The company will occupy three office buildings and a central pla... http://bit.ly/hGZr15


□ DNAアレイ大手、アフィメトリクス社の組入比率がアンダーウェイトに(T ^ T) RT @GenomeWeb_News: Affymetrix Shares Decline on Downgrade from JP Morgan: http://bit.ly/gSp9mi


□ dbcls: ライフサイエンス統合データベースセンター
「統合データベースプロジェクト」とバイオインフォマティクス推進事業(BIRD)の一本化に関するページが公開されました http://bit.ly/eLznN7



□ Sagebio: Sage Bionetworks
'PLoS and NPG redefine the scholarly publishing landscape' by @CameronNeylon http://bit.ly/ha39o5


□ TheGenomeCenter:
Cool Central Dogma animation http://bit.ly/e9UHPN


□ こういう論説がもっとドキュメンタリー化されるべき。ノンリニアやデータベースは21世紀科学の主軸だけれど、まだまだ一般向けの露出が極端に少ない気がする。RT @togotv: 生きている自然と非線形科学 http://bit.ly/h0rIcu #togotv


□ cshperspectives: CSH Perspectives
New issue live, inc free articles by Stan Prusiner on prions and Michael Rosenfeld on long non-coding RNA http://bit.ly/19BH4l


□ ianholmes:
"Strawberry Genome vs Peach Genome" is a distraction. We need to rescue the Mushroom Genome from Bowser's Castle http://ping.fm/A3Hlv


□ ROResources:
'Junk' DNA Reveals Key Information About Breast Cancer Risk And Development A new genetic biomarker that... http://fb.me/RlgmPvZ8


□ lgatt0: Laurent Gatto
"98.5% of DNA is considered to be junk DNA with no known purpose. Maybe it's XML tags."


□ χ2-divergence -A strict spectral bound convergence rate can be given for discrete time-continuous quantum Markov process http://j.mp/hIMlEAA


□ the_Node:
Early registration for the German/Japanese developmental biology (GfE/JSDB) meeting ends January 15th. See GfE site: http://fb.me/wSl1M9vL


□ GenomeWeb_News:
Rosetta Genomics Gets NY State Permit for microRNA Tests: read more http://bit.ly/eDULJk


□ biosharing: BioSharing Network
The BioDBCore paper (MI spec for describing a bioscience database) is out in NAR (soon to appear also in 'Database'): http://is.gd/hpEtE


□ AIP_Publishing:
National Science Board Task Force on Data Policies Discusses Public Access http://dld.bz/CQ6v


□ シロクマさんがついにBBCにキレたw
Polar Bears Destroy BBC Documentary Spy Cameras sciencenewsblog.com/blog/1230101


□ _masaka: KANZAKI, Masahide
URL Design http://bit.ly/ics6kv TimBLのクールURI以来いろんなガイドが提唱されてきたが、いわばHTML5時代のURI設計として、名前空間、人間向けURLなど。年末の記事だけれど、JeniT、HotWiredなどフォローが多いので改めて


□ ibaibabaibai: baibai
「なぜ科学を語ってすれ違うのか ソーカル事件を超えて」 ジェームズ・ロバート・ブラウン (みすず書房) 非常によい.特に前半2,3章.3章の科学哲学のまとめは理系の人に,2章の科学の良さを説明する部分は文系の人におすすめ.


□ naturejapan:
ネイチャー掲載論文です。「鉱物が水あめ状に変形 地球内部の『超塑性』初確認」 MSN産経ニュース http://nature.asia/gEbEdq


□ music


□ Delerium:
Click the player below and listen to Delerium's Bill Leeb talk about the new stripped-down, acoustic renditions of... http://fb.me/I2Jv2SIz


□ reaktoplayer:
Chime: Nice Generative Audio and Video App made in Max/MSP for Mac Only: http://bit.ly/gEvTvr


□ RichardDevine:
algoRHYTHMS electromagnetic sounds of Macbook Pro http://vimeo.com/6649750


□ Oceano__: Piotr
Special Christmas Recording from SLEEPTHIEF are available for FREE download. Catch them while you can! :) http://soundcloud.com/sleepthief



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